ホームページの「新陳代謝」:不要なページを削除してサイトを強くする技術
長くホームページ(ウェブサイト)を運営していると、どうしても「ゴミ」が溜まってきます。それは、終了したキャンペーンの告知であったり、廃盤になった商品の紹介ページであったり、あるいは数年前に書いたものの、今となっては内容が古すぎて役に立たないブログ記事だったりします。
多くの運営者の方は、新しいページを追加することには熱心ですが、古いページを削除したり整理したりすることにはあまり関心を持ちません。「とりあえず残しておけば、いつか誰かが見るかもしれない」「ページ数が多いほうがSEOに強いと聞いたことがある」といった理由で、放置されているケースを私は数多く見てきました。
しかし、トップレベルのSEOエンジニアとしての視点から申し上げますと、その「放置」こそが、ホームページ全体の評価を下げ、集客の足を引っ張っている大きな原因になっている可能性があります。
今回は、ホームページにおける「情報の断捨離」の重要性と、それを安全に行うための考え方についてお話しします。
検索エンジンは「量」より「質」を見ています
昔のSEOの常識では、「ページ数は多ければ多いほど良い」と言われていた時期がありました。しかし、現在のGoogleをはじめとする検索エンジンのアルゴリズムは、まったく別の基準で動いています。彼らが最も重視するのは「情報の質」と「鮮度」です。
想像してみてください。あなたが図書館に行ったとき、本棚に最新の専門書と並んで、10年前の古びた週刊誌や、内容が間違っている古い地図が大量に詰め込まれていたらどう思うでしょうか。必要な情報が探しにくいだけでなく、その図書館自体の管理能力を疑うはずです。
検索エンジンも同じです。サイト内に価値の低いページ、古い情報が掲載されたままのページ、誰も見ないページが大量にあると、サイト全体の「品質スコア」のようなものを下げてしまいます。
これを専門用語で「インデックス・ブロート(インデックスの肥大化)」と呼ぶことがあります。質の低いページが大量に存在することで、検索エンジンが本当に評価すべき重要なページを見つけにくくなったり、サイト全体の評価を薄めてしまったりする現象です。
不要なページを削除し、サイト全体の平均点を上げることは、今のSEOにおいて非常に重要な戦略です。
ユーザーの信頼を損なう「ゾンビページ」
技術的な話の前に、もっと大切な「人」への影響について考えましょう。
例えば、ユーザーが検索経由であなたの会社のホームページにある「春の特別キャンペーン」というページにたどり着いたとします。しかし、よく見るとそのキャンペーンは「2020年」のものでした。
ユーザーはどう思うでしょうか。「なんだ、終わっているのか」とがっかりしてブラウザの戻るボタンを押すだけならまだ良いほうです。「この会社は情報の管理ができていない」「今の情報も正しいのか怪しい」と、企業としての信頼性を疑われてしまうかもしれません。
情報は、古くなると価値がなくなるだけでなく、時には「マイナスの資産」になります。
特に、営業時間や価格、サービス内容などの変更があった際、古いページが残っていると、ユーザーとのトラブルの原因にもなります。お問い合わせをいただいたお客様に「それは昔の料金です」と謝罪するのは、お互いにとって不幸なことです。
ホームページを訪れる人にとって、常に最新で正確な情報が整理されている状態を作ること。これが「おもてなし」であり、事業への信頼につながります。
どのページを削除すべきか
では、具体的にどのようなページを整理の対象とすべきでしょうか。私がクライアントのサイトを診断する際、真っ先にチェックするのは次のようなページです。
期限切れのコンテンツ
期間限定のキャンペーン、終了したイベントの告知、採用が終了した求人情報などです。これらは役割を終えています。もし「過去の活動履歴」として残したい場合は、ページをそのまま残すのではなく、「アーカイブ」や「活動実績」というコーナーに移動させたり、内容を「このイベントは終了しました」と明記して、現在のキャンペーンページへ誘導したりするなどの工夫が必要です。
ほとんどアクセスのない低品質な記事
数年前に書いた日記のようなブログや、文字数が極端に少なく中身のないページも削除の検討対象です。アクセス解析を見て、過去1年間でほとんど誰にも読まれていないページは、存在意義がないと言えます。
内容が重複しているページ
似たようなテーマで書かれた記事が複数ある場合、検索エンジンの評価が分散してしまいます(カニバリゼーションと言います)。これらは削除するか、一つの充実したページに統合(リライト)することをお勧めします。
正しい「削除」の方法とは
ここで注意していただきたいのが、「ただ削除ボタンを押せばいいというわけではない」という点です。ここがプロの腕の見せ所でもあります。
ページを物理的に削除すると、そのURLにアクセスしたユーザーには「404 Not Found(ページが見つかりません)」というエラー画面が表示されます。
もし、その削除したページが外部のサイトからリンクされていたり、お客様がブックマークしていたりした場合、いきなりエラー画面が出るのは不親切です。また、外部からのリンクはSEOにおいて投票のような効果を持っていますが、ページを単純に削除すると、その投票効果も捨ててしまうことになります。
そこで私たちは「301リダイレクト」という技術を使います。
これは、「古い住所(削除するページ)」にアクセスが来た瞬間に、自動的に「新しい住所(関連する現在のページ)」へ転送する仕組みです。
例えば、「2023年のキャンペーンページ」を削除する場合、単に消すのではなく、アクセスした人を「最新のキャンペーン一覧ページ」や「トップページ」に転送するように設定します。
これにより、ユーザーは迷子にならず、外部からのリンクの評価もある程度引き継ぐことができます。
削除ではなく「非公開」や「noindex」を選ぶ場合
法的理由や社内の記録としてページ自体は残しておきたいけれど、検索エンジンには評価されたくない、一般のユーザーには見せたくない、という場合もあります。
その場合は、CMSの機能で「非公開(下書き)」に戻すか、ページは公開したまま検索エンジンに対して「このページは無視してください」と伝える「noindex(ノーインデックス)」というタグを設定します。
このように、「整理」といっても、単純削除、リダイレクト、統合、非公開、noindexなど、ページの性質に合わせて適切な処置を選ぶ必要があります。
ツールに依存せず、設計思想を持つ
ご質問にもありましたが、実際にこれらの作業をどう行うかは、WordPressなどのCMSや使用しているプラットフォームによって操作方法が異なります。
WordPressであればプラグインを使ってリダイレクト設定を行うのが一般的ですが、サーバーの設定ファイルを直接編集するほうが処理が速い場合もあります。また、大量のページを一括で処理する場合は、データベースを直接操作することもあります。
ここで重要になってくるのが、信頼できる制作会社やパートナーの存在です。
間違った設定でリダイレクトを行うと、サイト全体が無限ループに陥って表示されなくなったり、必要なページまで検索結果から消えてしまったりする事故が起こり得ます。特に301リダイレクトの設定や、Googleのインデックス削除申請などは、専門的な知識が必要です。
「どのページが不要か」という判断は、事業を行っている皆さんでしかできません。しかし、「それをどうやって技術的に正しく処理するか」は、プロの領域です。
ホームページは盆栽のようなものです
私はよく、ホームページ(ウェブサイト)の運営を「盆栽」や「庭木の手入れ」に例えます。
水をやり、肥料をやる(新しい記事を書く)ことはもちろん大切です。しかし、伸びすぎた枝を切り、枯れた葉を落とし、形を整える(不要なページを整理する)作業を怠れば、木はボサボサになり、風通しが悪くなり、やがて病気になってしまいます。
美しく、健全に育っているホームページは、必ずこの「剪定(せんてい)」が行われています。
情報が整理され、筋肉質になったサイトは、検索エンジンにとっても読みやすく、何より訪れたお客様にとって快適な場所となります。
もし、あなたの会社のホームページに、何年も前の「新着情報」が残っていたり、リンク切れのまま放置されているページがあったりするなら、今こそ大掃除のタイミングです。
新しいものを足すことだけでなく、古いものを引く勇気を持つこと。それが、変化の激しいWebの世界で、長く愛される強いサイトを育てるための秘訣です。
ホームページ中の一部のページのみを削除
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